EPA、追加された16種類の化学物質の製造者または輸入者に対し、安全性に関する試験結果の提出を義務付ける提案
2024年03月26日、環境保護庁(EPA)は、アセトアルデヒドなど16種類の化学物質を安全衛生データ報告規則に追加し、その製造者または輸入業者に対して、現在は未公表の「安全性に関する試験の写し」を提出することを義務付ける提案を行いました。本措置に対する意見は、2024年05月28日までとなっています。化学製造、石油精製、タイヤ製造などに関わる事業主に影響が及びます。
規則案の内容
米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、有害物質規制(Toxic Substances Control Act、TSCA)法に基づき、安全衛生データ報告規則を公布しています。今回、この安全衛生データ報告規則の新しい規則案が発表されました。規則案では、安全衛生データ報告規則(Health and Safety Data Reporting Rule)のリストに以下の16の化学物質を追加し、その「安全性に関する試験の写し」の提出を義務付ける提案を行っています。( )内は化学物質抄録サービス であるCAS登録番号(American Chemical Society Registry Numbers、CASRN)を示しています。
4,4-メチレンビス(2-クロラニリン) (CASRN 101-14-4)
4-tert-オクチルフェノール(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール)(CASRN 140-66-9)
アセトアルデヒド(CASRN 75-07-0)
アクリロニトリル(CASRN 107-13-1)
ベンゼンアミン(CASRN 62-53-3)
ベンゼン(CASRN 71-43-2)
ビスフェノールA(CASRN 80-05-7)
エチルベンゼン(CASRN 100-41-4)
ナフタレン(CASRN 91-20-3)
塩化ビニル(CASRN 75-01-4)
スチレン(CASRN 100-42-5)
トリボモメタン(ブロモホルム)(CASRN 75-25-2)
トリグリシジルイソシアヌレート(CASRN 2451-62-9)
フッ化水素(CARN 7664-39-3)
N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)(CASRN 793-24-8)
2-アニリノ-5-[(4-メチルペンタン-2-イル)アミノ]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1,4-ジオン(6PPD-キノン) (CASRN 2754428-18-5)
16種類の化学物質の製造者または輸入者が影響を受ける内容
連邦規則集(40 CFR 716)では、「安全衛生データ報告規則のリストに化学物質が収載される前の10年の間に、この化学物質を製造することを提案した、あるいは製造した事業者は、60日間の報告期間中に報告スケジュールに従って、化学物質の「安全性に関する試験の写し」をEPAに提出しなければならない。」と記載されています。
ちなみに化学物質の「安全性に関する試験の写し」とは、以下のものが含まれます。
■ 化学物質がリストアップされた時点で所有している、各化学物質の安全衛生試験結果のコピー
■ 化学物質がリストアップされた時点では保有していないが、その後保有した、各化学物質の安全衛生試験のリスト
■ 化学物質がリストアップされた時点で製造が進行中であり、自社または自社のために実施されている各化学物質の安全衛生研究のリスト
■ 化学物質がリストアップされた日以降に製造が開始され、自社または自社のために実施されている各化学物質の安全衛生試験のリスト
■ 化学物質がリストアップされた日以前もしくは以後に製造が開始されたが現在は終了している、各化学物質の安全衛生調査のコピー
加えて、EPAは、化学物質を製造とは別の過程で意図せずに製造することになってしまう者に対する免除を、本規則案の対象とはしないことも提案しています。
つまり、EPAは、今回の規則案において新たに追加された16種類の化学物質を、製造する企業、または成形品などとして輸入する企業に対し、安全性に関する調査・試験・研究結果の内容とリストの提出を義務付ける提案を行っています。追加された16種類の製造などを行う化学製造、石油精製、タイヤ製造関連の企業に影響が及びます。
参考情報
EPA、TSCAに基づいた安全衛生データ報告規則に、アセトアルデヒドなど16種類の化学物質を追加することを提案
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