EU|RoHS指令免除を更新する委任指令公布-窓およびドアに使用される硬質PVC中のカドミウムや鉛
2024-03-13

電子機器等における鉛・カドミウムの使用制限の免除について

2024年01月10日、欧州委員会は電子機器および電気機器における一部の有害物質の使用制限に関する指令(EU)2011/65(RoHS指令)を修正し、カドミウムおよび鉛に対して制限の免除を適用する委任指令(EU)2024/232を公布しました。各加盟国の法制化の期限は2024年07月31日となっています。

背景

■ 既存法令の状況

電気電子機器の有害物質含有指令(EU)2011/65(RoHS指令)は、電気機器および電子機器における特定の有害物質の使用を制限するものです。

同指令第2条において、制限が適用される範囲は、同指令附属Iのリストに記載されています。

同指令第4条は同指令IIのリストに基づき、市場に出される電気機器および電子機器の一部に有害物質を含まないよう要求しています。しかし、同指令の附属IIIおよびIVのリストに記載された用途で使用する際には制限は適用されません。

■ カドミウムおよび鉛の制限免除に関する動向

指令(EU)2011/65の附属IIのリストには、カドミウムおよび鉛が含まれています。

2015年12月14日に欧州委員会は、回収ポリ塩化ビニル(PVC)を含む電気機器・電子機器の窓およびドアに含まれるカドミウムおよび鉛の免除を認める申請を受理しています。なお、対象となる電気機器・電子機器は附属Iのカテゴリ11「上記のカテゴリーに該当しないその他の電気電子機器」です。

欧州委員会はこの免除によって、環境および健康に悪影響を及ぼさないと判断しています。

概要

制限からの除外対象を明記している指令(EU)/2011/65の附属IIIに、以下の内容が含められます。

No.

免除内容

期限
‘46

電気・電子機器の窓やドアに使用される、ポリ塩化ビニル廃棄物から製造された混合物を含むプラスチック製プロファイル(以下、「回収硬質PVC」という)中のカドミウムと鉛で、回収硬質PVC材料中の濃度が重量比0.1%のカドミウムと重量比1.5%の鉛を超えないもの。

2026 年05月28日以降、電気・電子用窓及びドアから回収された硬質ポリ塩化ビニルは、規則(EC)1907/2006(REACH規則)の付属書XVIIの項目63の18(a)から(d)に指定されたカテゴリの新しい成形品の製造にのみ使用されるものとする。

重量当たりPVC材料0.1%以上の鉛を含む回収された硬質PVCを含むPVC製品の供給業者は、これらの製品を市場に提供する前に、「≥0.1%鉛を含む」という声明が見やすく、読みやすく、消去不可能にPVC製品に表示されていることを確認しなければならない。製品の性質により、表示が製品に提供できない場合は、製品の包装に表示されている必要がある。

回収された硬質PVCを含むPVC製品の供給業者は、PVCの起源に関する主張を裏付けるための文書証拠を国の執行機関に提出しなければならない。EN 15343:2007または基準に従って開発されたトレーサビリティとリサイクル含有量の証明を提供する制度などが使用できる。

11カテゴリに適用され、2028年5月28日に期限切れとなる。

なお、各加盟国は2024年07月31日までに本指令の内容を反映した法律、規則、行政上の規定を採択および公表する必要があります。

また、関連する法令等のテキストを直ちに委員会に通知する義務を負います。

そして、法令等を2024年08月01日から適用できるしなくてはなりません。

なお、免除の有効期限は2028年05月28日までとなっています。

関係法令概要:電気電子機器の有害物質含有指令(RoHS指令)(EU)2011/65

RoHS指令として知られる指令(Directive 2011/65/EU)は電気電子機器(EEE)における鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質の使用を制限し、特にEEEの環境に配慮した回収と廃棄物処理を可能にすることで、人の健康と環境を保護することを目的としたものです。

適用範囲

■ RoHS指令が適用されるEEEは附属書Iに特定されています。武器、宇宙機器、大型定置式産業用工具(印刷機、フライス盤、ボール盤など)、固定設備(発電機など)、太陽光発電パネルパイプオルガンと一部の非路上移動機械などの品目は対象外とされています。

Category
1大型家電(household appliances)
2小型家電
3IT・通信機器
4消費者用機器
5照明機器
6電気・電子工具
7玩具、レジャー・スポーツ用品
8医療機器
9産業用監視・制御機器を含む監視・制御機器
10自動ディスペンサー
11上記のカテゴリーに含まれないその他のEEE

主な要件

■ 上市するEEEが、同法に定められた要件に沿って設計・製造されていることを確認する製造者の義務

■ 機器が要求される規格に適合していることが承認されていることを確認する輸入者や流通業者の義務

■ 有害物質の含有規制:
-修理、再使用、機能更新、容量更新のためのケーブルやスペアパーツを含め、上市されるEEEが附属書IIに記載された物質を均質材料中に閾値を超えて含まないことを保証

制限物質許容最大濃度
0.1 %
水銀0.1 %
カドミウム0.01 %
六価クロム0.1 %
ポリ臭化ビフェニル(PBB)0.1 %
ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE)0.1 %
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)0.1 %
フタル酸ブチルベンジル (BBP)0.1 %
フタル酸ジブチル(DBP)0.1 %
フタル酸ジイソブチル(DIBP)0.1 %

参考情報

電子および電気機器における回収硬質ポリ塩化ビニールを含むプラスチックプロファイルにおけるカドミウムおよび鉛の免除に関する指令(EU)2011/65の修正に関する委任指令(EU)2024/232

電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令(EU)2011/65


本記事の著作権は、株式会社先読に帰属します。なお、記事の相互掲載について、当社と株式会社先読との間で合意がなされています。

転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)

規制に関する詳細については、お問い合わせください。
お問い合わせフォーム