EU食品接触材料規制の最新情報:欧州食品安全機関(EFSA)がプラスチック製品用添加物を再評価
2025-02-17

2025年2月10日、欧州食品安全機関(EFSA)は、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンのリスクについて更新し、その評価書を公表しました。

現在、これら物質に関しては食品に接触するプラスチックにおけるEUの法規(EU)10/2011 に掲載されており、食品と接触するプラスチックの添加剤、またはポリマーの製造助剤として使用可能(FCM No.19)。使用制限は、第三級アミンとして表されるSML(T)=1.2 mg/kg食品のみとされています。

欧盟食品接触塑料法规

物質評価の背景

前回EUは関連する利害関係者にデータ提供の要請を行い、関連する製造業者の4社が、物質の基本情報、製造工程および化学的不純物に関する情報、物質の物理化学的情報、移行情報、毒性学的評価情報などの関連情報をEFSAに提出。EFSAは、食品接触物質に含まれる新規物質の評価手順に従って、提出された情報の詳細な評価を行いました。

更にEFSAは、原料であるN,N-ビス(ヒドロキシエチル)ココアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)オレイルアミン、水素添加獣脂一級アミンエトキシレート、獣脂一級アミンエトキシレートの製造のために、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンの危険性評価を報告しております。

EFSAの最新評価結果

詳細な評価結果について、EFSAは、旧規則(EU)10/2011の中では以下の物質を安全上において現実的ではないと結論づけています。

・N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)

・アルキル(C8-C18)

・アミンの移行限界SML(T)=1.2 mg/kg

しかし以下の要件を満たす場合、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンの使用は安全とみなされると示しています。

ー①使用方法と量ー

製造助剤および加工助剤として使用されており使用量は0.1%w/wを超えてない。

・化学物質は、厚さが1ミリメートル以下のポリオレフィン材料および製品を製造する際に使用されている場合

ー②食品接触に関する制限ー

・すべての種類の食品に接触可能。ただし、離乳食は除外される。

・瓶の蓋の場合、最大厚さ制限は適用されない。

・瓶の蓋材料として使用する場合は離乳食でも接触可能とする。

ー③移行量の制限ー

・食品に溶けだす移行量は、1キログラムの食品あたり5ミリグラムを超えてはない場合

ー④アルキル基の供給源ー

・使用できるアルキル基のリソースとしては、加水分解された植物油または高線状構造を持つエチレンオリゴマーに限る。

不純物の制限ー

・物質に含まれる不純物の残留量は、5% w/w以下の場合


このように、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンの使用は、これらの要件を満たす場合に限り、安全と見なされています。

原料の使用制限と新物質申請の必要性

N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンの製造に使用禁止の原料について下記の通りです。

N,N-二(ヒドロキシエチル)ココナッツオイルアミド、N,N-二(ヒドロキシエチル)オレイルアミン、水素化牛脂基ベンジルアミンエトキシエステル、牛脂基ベンジルアミンエトキシエステルなど、不飽和炭素鎖を含む原料

  • 新しい物質申請

→上記の原料をN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキル(C8-C18)アミンの製造プロセスに使用したい場合、製造業者はEUの要求に従ってEFSAに新物質申請資料を提出する必要があります。

このように今後、EUはこれらの評価結果をRegulation (EU) 10/2011の次回更新版に反映する可能性があります。今後もREACH24Hでは関連する情報を発信していきます!


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