中国は、ストックホルム条約(POPs条約)に基づく廃止と制限の要件を厳格に実施しており、これまでに29種類の残留性有機汚染物質(POPs)を段階的に廃止しました。そのうち8種類は2023年末までに新たに追加されたPOPsです。
2024年9月6日に、中国南京市で開催された「第16回グローバル化学品規制年度サミット・CRAC China(2024)」で、中国「生態環境部-対外連携と交流センター」の首席科学者である肖学智氏が、中国のPOPs条約遵守における進展を来場者と共有しました。
中国は2001年5月23日にPOPs条約の署名国となり、2004年6月25日に批准しました。POPs条約は2004年11月11日から中国で発効しました。
中国は今まで、ストックホルム条約の締約国会議(COP)やストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)の会議、専門家グループの会合などに積極的に参加してきました。また、遵守の有効性評価を実施し、2008年・2014年・2020年3回に渡って評価報告書を条約事務局に提出しました。また、国内では、条約履行を支えるために各省庁間の調整メカニズムを構築しました。
遵守強化に向けた法規制設計
肖氏によると、中国は国家実施計画を策定し、国内の環境管理におけるPOPsの制御要件を法律や規則に組み込み、200以上の標準およびガイドラインを策定・改訂してきました。対象となる主な法律、規則、およびインベントリは以下の通りです:
製品品質法
産業構造調整指導目録(2019年版)1
国家危険廃棄物名録(2021年版)(生態環境部令第15号)
注1:現行は2024年版ですが、講演者の資料を基にしているため、2019年版を使用しています。
新汚染物質管理とのコンプライアンス努力の連携
中国は、いわゆる”新汚染物”の有効な制御と段階的廃止にも取り組んでおり、POPsもその一環です。22年末に公布された「重点管理対象新汚染物リスト(2023年版)」には、2023年末まで淘汰すべき8品目のPOPsが含まれています。
中国は今まで合計29種類のPOPsの製造、加工、使用、輸入、および輸出を完全に禁止しました。29種類のPOPsは以下の通りです:
アルドリン
ディルドリン
エンドリン
ヘプタクロル
トキサフェン
クロルデン
ミレックス
ヘキサクロロベンゼン
ポリクロロビフェニル
メトキシクロル
クロルデコン
α-ヘキサクロロシクロヘキサン
β-ヘキサクロロシクロヘキサン
ペンタクロロベンゼン
ヘキサブロモビフェニル
テトラブロモジフェニルエーテルとペンタブロモジフェニルエーテル
ヘキサブロモジフェニルエーテルとヘプタブロモジフェニルエーテル
リンダン
エンドスルファン
ヘキサブロモシクロドデカン
ポリクロロナフタレン
PFOS、PFOSの塩およびPFOSF
デカBDE
SCCPs
ヘキサクロロブタジエン
PCPおよびその塩およびエステル
ジコフォル
PFHxS、その塩および関連化合物
デクロランプラスおよびそのシスおよびトランス異性体
肖氏は、中国主要産業におけるPOPsの排出削減に対する取り組みにも紹介しました。中国は、14の産業の汚染物質排出基準にダイオキシンを組み込み、排出許可証管理システムを確立しました。「第12次五カ年計画」期間以降、廃棄物焼却、鉄鉱石焼結、リサイクル非鉄金属の生産などの主要産業におけるダイオキシン排出の強度は40%以上減少しています。
2024年5月17日、中国生態環境部(MEE)は北京でPOPs条約の遵守に関する経験交換会を開催しました。この会議では、「中国における残留性有機汚染物質の制御(2004-2024年)」という出版物が発表され、過去20年間のPOPs管理の理念、実践、成果が包括的に紹介され、中国のPOPs管理経験が国際社会と共有されました。
POPs条約のオリジナルの起草者および署名国の一つとして、中国は20年間にわたりPOPs汚染に対して断固たる戦いを続けてきました。中国はPOPs管理行動を効果的に推進し、POPsの環境排出量を大幅に削減し、グローバルな環境ガバナンスと持続可能な発展に中国の力を引き続き貢献しています。