米国食品接触通知(FCN)の紹介
FCNの背景
1958年、「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug & Cosmetic Act、以下FD&C法)」は改正され、第409条が追加されました。この条文により、新規食品添加物はFDAの承認を得なければ食品中での使用が許可されないことが定められました。
この要件を満たすために、FDAは申請手続を定め、個人が新規食品添加物の承認を申請できるようにしました。食品中へ移行することが予想されるすべての食品接触物質は、承認を取得する必要があります。
1997年、「食品医薬品局近代化法」(Food and Drug Administration Modernization Act, FDAMA)にはFD&C第409条が改正され、「食品接触通知(FCN)」制度が新たに導入され、以前の申請手続に代わって、より迅速に食品接触物質を審査できるようになりました。
2000年1月18日、FDAはFCNの新規申請の受付を開始し、同年7月にはFCN審査手続の草案規則を発表し、2002年5月に正式的に決定し、21 CFR第170.100〜106条に組み込まれました。
FCNの特徴
GRAS物質および規制対象外とされた物質(TOR)リストにある物質は、すべての製造業者に適用されます。これに対してFCNは異なり、FD&C第409(h)(1)(c)では、FCNは通知書に明記された製造業者および物質にのみ有効であると規定されています。つまり、FCNに認定された製造者または供給者のみが、当該物質を使用・販売できます。
したがって、同じ製品であっても、ある製造者がFDAの承認を得ていたとしても、他の同業者が同様の製品を米国市場に販売するには、再度FCNを申請する必要があります。
誰がFCNを申請できるのか?
誰でもFDAに食品接触通知(FCN)を提出することができます。
FD&C法では「製造者」や「供給者」とされていますが、FDAは「供給者」という言葉をより広く解釈しており、食品添加物申請制度に基づいて承認を受けた個人も含まれます。これにより、FCN制度への移行時に誰も排除されないようになっています。
FCNの申請状況の分析
FCNの技術審査期間は120日であり、安全性に問題がなければ、その120日内にFCNは自動的に発効します。
FDAはその後、申請者に対して発効日を確認するための確認書を送付し、有効なFCNはFDAのウェブサイトにて公表されます。
FCN審査手続きは迅速かつ効率的であり、さらに同一物質であっても製造業者が異なれば個別にFCN申請が必要となるため、米国で毎年承認される有効なFCNの件数は、中国や欧州よりもはるかに多くなっています。
米国食品接触通知(FCN)の申請
申請プロセス
申請者が食品添加物安全局(OFAS)に書類を提出すると、FDAはFCN番号を割り当て、資料を審査チームに送付します。審査チームはFCN受理後3週間以内に第一段階の審査会議を行い、提出されたデータと情報の完全性を確認します。
情報が完全であると確認されれば、申請者に確認書が送付され、その記載日が120日間の審査期間の開始日となります。これにより「第二段階の審査」に入ります。
第二段階の審査中に問題がなければ、FCNは120日以内に自動的に発効し、消費者安全責任者が申請者に発効日を記載した書簡を送付します。
申請資料の要件
申請物質の安全性を示すために、FCN申請を行う時には、理化学データ、移行評価、毒性評価、環境評価など完全なデータおよび関連情報をFDAに提出する必要があります。
具体的なデータ要件は、FDAが発行したForm 3480に明記されており、以下の9つの項目で構成されています: