CDPの評価を上げようと努力している多くの企業は、特定のモジュールに多大な投資を行い高得点を獲得したにもかかわらず、最終的なレーティングが期待通りにならず、Cレベルに留まってしまうという悩みに直面しがちです。その根本的な原因は、CDP独自のスコアリングロジックが単純な合計点ではないことにあります。
企業が効果的な開示戦略を立てるために、本稿ではCDPの段階的なレーティングシステム、スコア計算方法、主要な昇格ルールおよび近年追加された基本基準(EC)要件について徹底解説します。
誤解しがち?CDPは合計点ではなく、「段階クリア方式」
まず、CDPの採点方法が単純な加算平均ではなく、厳格な段階別レーティングシステムであるということを明確にしておくべきです。企業は、ゲームのステージをクリアするように、段階的に要件を満たしていくことで、より高いレーティングに昇格できます。
評価は大きく4つのレベルに分かれており、低い方から順に以下の通りです。
Dレベル - 開示(Disclosure): 情報が完全に開示されているか?
Cレベル - 認識(Awareness): 環境変化が事業に与える影響とリスクを注意しているか?
Bレベル - 管理(Management): これらの影響を管理するために、適切な措置が講じられているか?
Aレベル - リーダーシップ(Leadership): 業界の模範となる慣行およびリーダーシップを発揮しているか?
各評価レベルはさらに2つのスコア帯(例えば、C-およびC)に細分されており、全体としてはD-からAまでの8段階で構成されています。
スコア算出方法を解説:4つの評価レベルはどのように決まるのか
「昇格」プロセスに入る前に、これら4つのレベルのスコアがどのように計算されるかを理解しましょう。アンケートの各質問について、企業は「開示、認識、マネジメント、リーダーシップ」の4つの側面でスコアを獲得し、それぞれ合計されます:
- 開示(D)と認識(A)レベルのスコア = 企業が各質問で得たスコアの合計 / そのレベルの質問の満点
直接的にスコア率が計算され、企業が基本的な情報開示と認識レベルでどれだけ達成しているかを反映する。
- マネジメント(M)とリーダーシップ(L)レベルのスコア = Σ(各セクションのスコア × セクションごとの重み) / 各質問の満点の合計
重みの概念が導入されている。また、モジュールによって重要度が異なり、目標設定や規制カテゴリーの質問はより高いスコアの重みを持っている。
気候変動アンケートの業界共通の重み付け比率
中核的なルール:「桶の理論」に注意、最短の板が最終レーティングを決定する
このシステムで最も重要なルールは、前のレベルの最低スコア要件を満たして初めて、次のレベルの評価に進めるという点です。
これは、桶にどれだけの水が入るか、最短の板の高さによって決まる「桶の理論」に似ています。
事例分析:
ある企業は開示、マネジメント、リーダーシップの3つのレベルで80点という高得点を獲得しましたが、認識レベルは70点でした。
認識レベルのスコアが昇格基準(例えば、79点)を満たしていないため、この企業の「桶」はここで水漏れを起こします。したがって、他の項目で優れたパフォーマンスを示したとしても、最終評価はCレベルに留ってしまいます。 逆に、認識レベルのスコアを80点に引き上げ、すべての段階の昇格要件を満たせば、最終的なレーティングはAレベルに達成することができます。
CDPにおける新たな課題:基本基準(EC)の導入が評価昇格の要件を厳格化
2024年の開示サイクルから、CDPは完全版アンケートに基本基準(Essential Criteria、EC)を導入し、レーティングのハードルをさらに引き上げました。
ECは、C-、B-、A-、Aという4つの主要なレーティングノードに割り当てられた必須の最低パフォーマンス基準ということです。企業が昇格するためには、スコアが基準を満たすだけでなく、目標とするレーティングおよびそれ前のすべてのレーティングに対応するEC要件をすべて満たさなければなりません。
C-レベルへの昇格: 認識(Awareness)レベルのすべてのECを満たす必要があります。
B-レベルへの昇格: 認識(Awareness)とマネジメント(Management)レベルのすべてのECを満たす必要があります。
A-レベルへの昇格: 認識(Awareness)、マネジメント(Management)、リーダーシップ(Leadership)レベルのすべてのECを満たす必要があります。
いずれかのECを満たせなかった場合、企業はより高いレーティングに進めません。企業はその業界の要件に合致するECのみに注目すればよいという点にご注意ください。
CDPの評価は、企業の従来の環境パフォーマンスを評価するだけでなく、将来のリスク管理と戦略的な先行性を試すものです。REACH24Hは、複雑な開示要件への対応を、企業の持続的成長における推進力と競争力と昇華させ、環境責任と事業価値の両立を実現できるよう、客様と共に歩んでまいります。