ウクライナREACHの主要な新規則草案を公表:SIEFと先導登録者メカニズムを導入
2025-07-09

最近、ウクライナ環境保護・自然資源省(MEPR)は、「同一化学物質の登録申請における共同情報提出規則の承認に関する草案(以下、「規則草案」)」を発表し、国民からの意見を公募しています。この草案は、ウクライナ版REACH規則を施行するための重要な細則です。同一化学物質に関する複数の企業の共同登録プロセスを規範化し、データの共有を義務付け、重複する試験やコスト(特に。不必要な脊椎動物試験)を削減するとともに、EU REACHの原則との整合性を確保することを目指しています。

中核メカニズム:データ共有コンソーシアム(物質情報交換フォーラム)と先導登録者


規則草案の核心は、「データ共有コンソーシアム」システム、すなわちおなじみの「物質情報交換フォーラム(SIEF)」の設立と、「先導登録者(Lead Registrant)」制度の導入にあります。


  1. SIEFの結成同一化学物質の登録を計画しているすべての企業は、共同で「SIEF」を結成し、既存のSIEFに参加しなければなりません。このSIEFの主要な職責には以下が含まれます。
    • 共同提出の調整フォーラム内のすべてのメンバーが共同で登録情報を提出することを保証します。

    • データの一貫性の確保ハザードデータを統一し、異なる登録者による同一物質の評価が一貫していることを保証します。

    • 重複試験の削減既存データ(特に脊椎動物試験データ)の強制的な共有を通じて、企業のコンプライアンス負担と動物福祉への影響を大幅に軽減します。

  2. 先導登録者の選出SIEFメンバーは、先導登録者を1名選出する必要があります。この役割は以下の重要な責任を負います。
    • 先導登録者およびすべてのSIEFメンバーの詳細な連絡先

    • 化学物質の的確な名称および固有の識別子(CAS番号など)

    • SIEF設立の証明情報など

    • 共同通知の提出フォーラム設立後10営業日以内に、ウクライナ統一国家電子ポータルを通じて環境省に「共同通知」を提出します。通知には以下を含める必要があります。
    • SIEFメンバーの代表としての提出すべてのSIEFメンバーすべてのを代表して共同登録書類を提出する責任を負います。

    • プロセスの調整登録プロセスの調整作業を主導し、共有データの完全性と正確性を確保します。

  3. 共同通知に添付すべき文書の内容先導登録者は、以下の詳細情報を含む中核的な技術書類をSIEFを代表して取りまとめ、提出する必要があります。
    • 化学物質のハザード分類データ

    • データの研究要約

    • 化学物質安全性評価報告書(CSR)または暴露シナリオ(該当する場合)

    • 新規試験提案の必要性(追加データが必要な場合)

業界の注目点と潜在的な課題


草案の発表は、ウクライナが機能的な化学物質管理システムを構築する上で確固たる一歩を踏み出したことを示しており、EUとの連携を追求する実施への決意が表れています。しかし、いくつかの重要な部分における曖昧さが業界の懸念を引き起こしており、最終的な草案決定までに明確化が強く求められています。

  • 簡易登録パスの適用性EU REACH登録済み、ウクライナREACH第26~27条に基づき簡易登録を行う企業は、SIEFへの参加が必須なのか、それとも代替手続きがあるのか? MEPRはさらに明確にする必要があります。

  • 「共同通知」の内容要件が高すぎる草案は共同通知にハザード分類データ、研究要約、CSRなどの詳細情報を含めることを要求しており、これは標準的なREACHの実践(EU SIEFモデル)とは異なります。EU REACHでは、これらの詳細情報は先導登録者が決定された後の登録書類準備段階で提出されるべきであり、SIEF設立当初の指名通知段階ではありません。草案の要件は、「指名通知」と「登録書類提出」という2つの異なる段階(あるいは用語自体が混乱を招いている可能性もあります)を混同しているように見えます。最終的な実施規則については、MEPRは段階要件をより明確に区別し、完備したEUのプロセスにさらに近づける必要があります。

  • 更新と責任のメカニズム草案は、提出された情報に変更が生じた場合、10営業日以内に環境省に報告することを義務付けています。同時に、先導登録者はSIEFメンバーを代表して提出されたすべてのデータの真実性と正確性について法的責任を負います。

当該「規則草案」は、ウクライナREACH規則の施行に向けた重要な一歩であり、強制的なデータ共有と共同提出メカニズムを通じて、企業のコンプライアンスコスト(特に重複試験費用)を効果的に削減し、登録効率を向上させ、動物福祉を保護します。その運用理念はEU REACHのSIEFモデルを高度に参考にしています。しかし、草案における共同通知の内容要件などの主要な部分の曖昧さや、まだ不明な点(簡易登録の実施方法など)については、最終的な草案決定前に当局によって明確化とがな充実され、より明確で使いやすい最終的な実施細則が形成される必要があります。


ウクライナREACHの新たな動向については、引き続きREACH24Hにご注目ください。

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