EU|フッ素化ガス(Fガス)の改正規則を公布
2024-04-10

フッ素化ガス排出規制強化で、温室効果ガス排出量の削減を促進することが目的

2024年02月20日、欧州官報にフッ素化ガス(Fガス)改正規則(EU) 2024/573が公布されました。掲載後の20日後に発効します。この改正規則により、2014年04月16日付けのフッ素化ガス規則(EU) No 517/2014は廃止となります。

同日に公布されたオゾン層破壊物質(ODS)改正規則と共に、2050年までに、更に5億トン近くのEUの温室効果ガス排出量(GHG)を削減することされています。

この2つの改正規則は、排出量を少なくとも55%削減するというEUの2030年の気候目標、そして2050年までのEUの気候中立目標の達成に貢献します。

背景

同日に公布されたFガス改正規則及びODS改正規則は、2050年までに気候中立を目指す欧州グリーン·ディールの一環として、EUの温室効果ガス排出量(GHG)を削減することを目的としたEUの気候目標を達成すること、及びモントリオール議定書に基づく国際規則と整合させる目的があります。

冷蔵庫、空調システム、医薬品などの幅広い日常製品や電力システムのヒートポンプや開閉装置に使用されるFガスは、現在のEUの温室効果ガス (GHG) 総排出量の2.5%を占めています。

モントリオール議定書との関係

オゾン層を破壊する物質に関するウィーン条約のモントリオール議定書は 1987年に採択され、太陽からの紫外線から地球を守るオゾン層にダメージを与える約100種類のオゾン層破壊物質(ODS)の生産と消費に関する世界的な段階的廃止スケジュールを確立しました。

2016年にモントリオール議定書は、ODS規制の発効により、ODSに代わって急増したFガスの使用とその結果としての気候への影響に関する懸念に応え、最も一般的なFガスのハイドロフルオロカーボン(HFC)を規制するよう修正されました。(キガリ改正)

従来のフッ素化ガス規制は、2016年のキガリ改正の採択より前にEUで発効したフッ素系温室効果ガスからの排出量の削減を目指した規制でした。今回の改正によりモントリオール議定書の遵守が確保されます。

概要

この規則は、フッ素化ガス(Fガス)に関する改正規制です。強化されたFガス規制により、2050年までにCO2換算約3億トンの排出が防止されます。

要点

  • ハイドロフルオロカーボン(HFC)使用の段階的廃止

HFCは、フッ化ガス排出量の約90%を占める最も一般的に使用されているフッ素化ガスです。HFCの既存の割当レベルが大幅に引き下げられ、HFCの輸入と生産が前年比でさらに制限されます。

2030年までにEUで市場に出されるHFCは2015年のレベルより95%削減され、2050年までに完全に廃止されます。  

HFCの販売割当には、2025年から二酸化炭素(CO2)換算で1トン当たり3ユーロが課されます。

  • 代替品がないものについての使用の制限と最も気候に優しいガス使用と順次禁止

現在適切な代替品が利用できないヒートポンプ、エネルギー伝達用の開閉装置、医療分野で使用される製品などのFガス使用は、最も気候に優しいFガスを使用する制限が導入され、代替手段へ移行準備を考慮しつつ2025~2035年に以下のように順次禁止されます。

  1. 12キロワット以下の小型一体型ヒートポンプとエアコンは2032年まで

  2. スプリット型ヒートポンプとエアコンは2035年まで

  3. 中電圧の開閉装置は2030年まで 

  4. 高電圧の開閉装置は2032年まで

  • Fガスを使用する冷凍設備の保守サービスは2025年に禁止。Fガスが回収またはリサイクルされる場合は2030年に禁止。

  • 2025年1月1日より、Fガスを含む既存の断熱材に関して、建物の改修、改装また取り壊し時にFガスを回収、または破壊することが新たに義務付けられました。 

  • EU内で販売できない地球温暖化係数の高い冷媒を使用する旧式の機器は、輸出禁止となります。

目次

第1章 一般規定
第1条 主題
第2条 範囲
第3条 定義

第2章 抑制
第4条 排出防止
第5条 ガス漏れ検査
第6条 ガス漏れ検出システム
第7条 記録保持
第8条 回収と破壊
第9条 拡大生産者責任制度
第10条 認証と研修

第3章 使用の制限と管理
第11条 上市と販売制限
第12条 表示及び製品・機器情報
第13条 使用管理

第4章 上市するハイドロフルオロカーボンの生産スケジュールと削減
第14条 ハイドロフルオロカーボンの生産
第15条 産業合理化のための生産権の譲渡・認可 
第16条 上市するハイドロフルオロカーボン量の削減
第17条 ハイドロフルオロカーボンの上市のための基準値と割り当て割り当ての決定
第18条 登録と割当の受取りの条件
第19条 ハイドロフルオロカーボンが事前充填された製品または装置
第20条 Fガスポータル
第21条 輸入機器におけるハイドロフルオロカーボンの市場投入のための割り当ての譲渡と使用許可

第5章 貿易
第22条 輸出入
第23条 貿易管理
第24条 不法貿易の監視措置
第25条 モントリオール議定書非締約国および議定書適用外地域との貿易

第6章 排出データの報告と収集
第26条 事業者による報告
第27条 排出データの収集

第7章 執行
第28条 協力と情報交換
第29条 チェック義務
第30条 違反の報告と違反報告者の保護

第8章 罰則、コンサルテーションフォーラム、委員会手続きおよび委任の行使
第31条 罰則
第32条 委任の行使
第33条 コンサルテーションフォーラム
第34条 委員会手続き

第9章 移行及び最終条項
第35条 レヴュー
第36条 指令 (EU) 2019/1937の修正
第37条 廃止及び移行条項
第38条 発効および適用

附属書1 第2条、ポイント (a) で言及されているフッ素系温室効果ガス – ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボンおよびその他のフッ素化化合物
附属書2 第2条のポイント (a) で言及されているフッ素系温室効果ガス – 不飽和ヒドロ(クロロ)フルオロカーボン、吸入麻酔薬として使用されるフッ素系物質、およびその他のフッ素系物質
附属書3  第2条のポイント (a) で言及されているフッ素化温室効果ガス – フッ素化エーテル、ケトン、アルコールおよびその他のフッ素化化合物
附属書4 第11条 (1) に言及されている上市禁止物品
附属書5 ハイドロフルオロカーボンを上市するための生産権
附属書6 第3条 (1) に言及される混合物のGWP の計算方法
附属書7 第17条で言及されているハイドロフルオロカーボン上市ための最大量と基準値及び割当ての計算
附属書8 第17条で言及されている割り当てメカニズム
附属書9 第26条に従って報告されるデータ
附属書10  相関表

参考情報


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転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)

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