EUマイクロプラスチックSPM説明ガイドラインが公開! 最新の規制に企業はどのように対応するべきか?
2025-04-15

EUマイクロプラスチックSPM解釈ガイドラインが公開!企業は最新の規制にどのように対応するべきか?

2023年10月17日、欧州委員会規則 (EU)2023/2055が発効し、欧州における人工添加微塑性(SPM)の制限が正式に実施されました。しかし、規則条文の実施面での曖昧さから、企業は実務上の課題に直面しています。

2025年3月31日、欧州委員会は欧州化学品管理局(ECHA)および加盟国と共同で「SPM制限解釈指針」(以下「指針」)を正式に発表し、業界に対してより明確なコンプライアンス指針と実務的な指導を提供しました。


指針の構成とポイント

「指針」は3つの主要部分に分かれており、それぞれ規則条項の詳細な解釈、実務Q&A解説、境界判定基準に焦点を当てています。

パート1:条文の解釈
本パートでは、SPMの定義および免除条件について詳細に解釈し、典型的な事例を交えて企業が自社製品が制限対象に該当するかどうかを正確に判断できるよう支援します。また、水溶性および生分解性の試験基準について明確に説明し、企業が関心を寄せる年次報告および情報伝達義務について具体的な操作指針を提供しています。これには、川下情報通報、重量計算、用途分類統計、説明書作成などが含まれます。主な内容は以下の通りです:

  • 情報通報要件の具体化:
         企業が長年困惑していた「最低通報基準」について、欧州委員会は本指針で明確にしました。供給者は少なくとも以下の情報を公式に提出する必要があります:物質名(IUPAC名、EC/CAS番号など)、分子構造、分子量、利用可能な分析スペクトルおよび分析方法など。

  • 試験方法および試験所資格要件の具体化:
         水溶性または生分解性試験については、GLP試験所またはISO 17025基準に準拠した試験所で実施する必要があることが明確にされ、業界が関心を寄せていた試験所資格基準に対応しています。

  • 説明書作成の実用的なモデル提供:
         安全説明書作成に関しても、参考となる用語や絵表示が提示されています。例えば、製品中のプラスチック粒子が環境に排出されないようにするための説明文として、「Do Not Rinse the Container Before Disposal」の使用が推奨され、対応する絵表示が添付されています。これにより、エンドユーザーが環境保護要件を直感的に理解し、遵守できるよう支援します。

ガイドライン推奨ピクトグラム

パート2:Q&A集
本パートでは、欧州委員会およびECHAが収集した企業のよくある質問に逐一回答しています。これには、規則適用、製品分類判定、免除条項の適用などが含まれ、特に化粧品、玩具、ラメなどの重点業界に対して具体的な解釈を提供しています。

Q:ネイルケア用化粧品「ディップパウダー」や「ネイルグルー」は制限対象に含まれるのか?
A:
「ディップパウダー」や「ネイルグルー」がSPM制限対象に該当するかどうかを正確に判断するには、具体的な成分および使用シナリオを分析する必要があります。一般的なケースとして:

  • 成分および特性: 製品がメタクリル酸エステル系ポリマー粒子を含み、以下の条件を満たす場合:

    • 粒径<5ミリメートル。

    • 固体、不溶性、非生分解性。

    • 爪の表面にポリマーコーティングを形成。

規則の根拠に基づき: 欧州規則第78条の定義によれば、メタクリル酸エステルは「固体ポリマー微粒(SPM)」に該当するため、これを含む混合物(例:上記のディップパウダーやネイルグルー)はSPM制限対象に含まれます。

例外説明: 製品の成分または使用方法が上記条件に該当しない場合(例:粒子が可溶性であり、または粒径が基準を超える場合)、適合性を再評価する必要があります。

これらのQ&A内容は、規則が異なる状況や製品形態においてどのように適用されるかを企業が理解するのに役立ち、より正確なコンプライアンス判断を可能にします。

パート3:意思決定ツリーと境界決定

本パートでは、汎用SPM判定ツリーが提供され、複数の境界事例が付随しています。これにより、企業は製品がSPMの定義に該当するか、制限対象か、免除可能かを迅速に評価でき、コンプライアンス効率を向上させ、誤判リスクを低減することができます。

企業の対応策

「指針」の発表は、欧州微塑性制限規則の実施過程における「重要なピース」と言えます。本指針は:

  • 規則の核心概念および適用ロジックを体系的に整理。

  • 試験方法、情報通報要件などの技術的詳細を細分化。

  • 企業が最も関心を寄せる実務的な問題に対応。

  • ECHAを今後の指針更新の主要責任機関として明確に指定し、本指針が実務に応じて段階的に更新されることを示唆。企業は最新動向を継続的に注視する必要があります。

2025年10月17日に強制情報通報義務が開始されるのを控え、欧州SPM制限は本格的な実施段階に入ります。
理解の偏りによるコンプライアンスリスクを回避するため、REACH24Hは企業に以下の対応を推奨します。

  • 製品の原材料および配合を再検討し、SPMが含まれているかどうかを確認。

  • 指針の要件に基づき、物質構造、試験データ、用途分類などの情報通報資料を準備。

  • 判定意思決定ツリーおよび指針事例を活用し、自社製品が免除の適用可能性があるかどうかを評価。

  • 判定が困難または試験条件が整っていない場合、早期に専門機関の支援を求めます。

REACH24Hは、欧州SPM制限の動向を引き続き追跡し、実務指針、コンプライアンス解説、事例分析を順次発表し、企業の効率的なコンプライアンス対応および円滑な輸出を支援します。

 


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