EcoVadisの評価システムにおいて、企業の業種と規模の特定は非常に重要です。これらは評価内容の方向性を決定するだけでなく、評価費用やスコアリング要件にも関係し、最終的なレーティング結果に影響を与えます。
評価対象企業は、EcoVadisプラットフォームへの初期登録時に業種カテゴリおよび従業員数(以下の図を参照)を記入する必要がありますが、実際の評価においては、EcoVadisが独自の方法により業種および規模を判断し、企業が提出した情報を修正する可能性があります。

規模が変更されると、評価費用やスコアリング要件が直接変わります。また、業種が変更された場合は、評価対象となる主要項目にも影響が及びます。
そのため、EcoVadisによる業種と規模の認定ルールを正しく理解・把握することで、企業は評価要件に正確に対応でき、コストの管理にも役立ち、より高いレーティングを獲得する可能性を高めることができます。
本日は、「業種」と「規模」という2つの重要要素を詳しく解説いたします。企業の皆さまが評価ルールを正確に理解し、レーティング獲得のチャンスをつかむよう、お役に立てれば幸いです。
企業の業種:評価内容に影響
業種分類の基準:社会的責任への影響を指標とします
EcoVadisは、国連の業種分類体系「ISIC」に基づいて、企業の経済活動を分類します。この分類体系を採用することで、国際間企業の比較が容易になり、社会的責任評価の核心項目と適用基準を正確に把握することができます。

企業の事業活動が複数の分野にわたる場合、または関連活動が異なるISICカテゴリに分類可能な場合、EcoVadisは社会的責任への影響が大きい業種を優先して分類します。
例:
例1: プラスチック包装と紙製包装材料の両方を製造している企業は、ISIC 1702「段ボールおよび板紙の製造」と比べて、ISIC 22「ゴムおよびプラスチック製品の製造」の方がより多くの重要な評価項目を含んでいるため、当該企業はISIC 22のカテゴリに分類されます。
例2:ある広告グループが複数の広告子会社と2つの印刷子会社を所有している場合、主要事業は広告であっても、印刷子会社の活動が企業の社会的責任においてより大きな影響を及ぼすと判断されるため、関連する重要な課題を包括的に反映する目的で、EcoVadisは当該グループをISIC 181「印刷および関連サービス活動」に分類します。
「ファブレス(Fabless)」企業:特別な属性、特別な分類
ファブレス企業は製品の設計とマーケティングに特化し、製造活動をすべてほかの企業に委託しています。自社で製造を行っていないにもかかわらず、製造業のISICコードに分類されます。
なお、従業員数が25人未満のファブレス企業は、卸売業に分類される点にご注意ください。
業種分類に異議がある場合:このように対応してください
EcoVadisによる業種分類に異議がある場合は、以下の書類を添付して、メールにてEcoVadisと連絡を取ることができます:
資格証明書(ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001 など)
商業登記証明書
現地の業種コード(例:北米地域の NAICS など)
企業の規模:スコアリング要件と評価費用に影響
企業規模の分類基準
EcoVadisは、従業員数に基づき企業規模を以下の4つに分類しています:
零細企業 (XS):1~25人
小規模企業 (S):26~99人
中規模企業 (M):100~999人
大規模企業 (L):1,000人以上
EcoVadis評価において、「従業員」とは、企業と直接雇用契約を結んでいる職員であり、等価フルタイム従業員(FTE)で換算した人数で判断されます。
EcoVadisの評価手法は、裏付けとなる資料に基づいて組織の管理体制を評価することを目的としています。そのため、1人企業は一部の評価項目で難しさを感じる可能性があります。通常、1人企業は「EcoVadis Vitals」モジュールを用いて、社会的責任に関する情報を提示することが可能です。
等価フルタイム従業員(FTE)の計算方法
FTEは、労働量を示す基準単位であり、正社員・パートタイム・臨時雇用などあらゆる雇用形態に適用されます。
計算式:FTE =(総労働時間)/(正社員の労働時間)
例:週20時間勤務のパート社員(正社員の週労働時間は40時間)の場合、この社員は0.5 FTEと換算されます。
規模認定に異議がある場合:このように対応してください
EcoVadisによる企業規模の認定に異議がある場合は、以下の書類を添付して、メールでEcoVadisに連絡してください:
法的証拠資料:財務報告書、給与明細など
社内資料:従業員ハンドブック、労働者データを含む報告書(CSR報告書、年次報告書の概要、または地方政府によって求められるその他の報告書など)
特別なあ場合:企業規模を零細企業(XS)または小規模企業(S)へ変更申請する場合は、人事部門や上級管理者による署名付きの書面が必要です
業種と規模の認定ルールを明確に把握することは、EcoVadis評価に対応する第一歩です。事前の計画と的確な準備によって、企業の総合力を十分に発揮することが可能になります。
EcoVadis評価や本記事の内容に関してご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。