硝酸アンモニウム及びフッ化水素は危険有害性が有する懸念化学物質として指定され、その取扱いへの管理が「毒性及び懸念化学物質管理法(TCCSCA)」の下で強化される予定です。
2021年8月20日、台湾環境保護署(EPA)が硝酸アンモニウム及びフッ化水素を懸念化学物質として指定しました。この2つの物質については、取扱者が製造、輸入、販売、使用、貯蔵などの前に承認を取得し、毎月オンラインで作業状況を報告する必要があります。それと同時に、ネット売買が禁止されるとともに、事故予防及び緊急対応に関する規制がかけられることになります。また、フッ化水素製品の場合は、不適切な使用による事故を防止するため、その市販前にラベルをつけることが必要です。
硝酸アンモニウムとフッ化水素の不適切な使用による安全及び健康への危害を予防することに力を入れるため、環境保護署(EPA)は「五必要・二禁止」の管理戦略を提出しました。「五必要」とは、「承認を取得する必要」、「ラベルをつける必要」、「オンラインで取扱量の個別記録を作成する必要」、「毎月報告する必要」と「事故予防及び緊急対応を完備する必要」ということを指します。また、「二禁止」とは、「ネット売買の禁止」及び「承認を取得する前に取扱うことの禁止」ということを指します。
環境保護署(EPA)によると、市販のフッ化水素製品(例えば、アルミ用洗浄剤、外壁用洗浄剤、水垢取り洗剤)の中に含まれるフッ化水素の濃度は10%以下となることが多いです。関連知識が欠如している民衆はフッ化水素製品を誤用し、人の健康に害を及ぼす可能性があります。そのため、フッ化水素への管理を強化する必要があります。フッ化水素の濃度が0.1%以上、且つ10%以下となる場合は、製品の容器及び包装がラベル要件に適合すべきです。それと同時に、ラベルの内容がはっきり表示されることを確保するため、容器及び包装におけるラベルの最小サイズも決めました。また、フッ化水素の濃度が10%以上の場合は、人の健康に深刻な被害を及ぼす恐れが大きいため、承認を取得する必要があります。工場での使用の他、フッ化水素酸を化学原料として販売する前に、許可書類を取得する必要もあります。
硝酸アンモニウムとフッ化水素はその物質特性のため、危険有害性が有する懸念化学物質として認定されています。その取扱量が等級分類にもとづく基準を超えた場合は、取扱者は「毒性及懸念化学物質管理法(TCCSCA)」の事故予防及び緊急対応規定に基づき、危害予防及び応急計画書を提出し、責任保険を購入し、専業対応人員を教育・訓練し、緊急対応組織を作り、緊急時対応のための機器及び検出と警報設備を設置し、及び輸送積荷目録を申告することを通して、この2つの物質に対する管理をさらに強化する必要があります。
既存の取扱者は新たな要求に従うまでの猶予期間が与えられる予定です。例えば、硝酸アンモニウムの製造、輸入、販売、使用、貯蔵などを行う場合は、2022年8月1日までに許可書類を取得すべきです。一方、フッ化水素の場合は2023年2月1日までに許可書類を取得すべきです。2021年10月1日から、硝酸アンモニウムの取扱量が変化する場合、その取扱者はオンラインで取扱量の個別記録を保存し、毎月報告する必要があります。2022年2月1日から、フッ化水素の場合も同じです。詳細はこちら[1]でご覧ください。新規の取扱者の場合は、猶予期間が与えられません。
環境保護署(EPA)は規定違反による罰金制度も強化することになります。
- 本規定に違反し、硝酸アンモニウム及びフッ化水素を取扱う者に対して、NT$30,000 から NT$300,000の罰金が課せられます。また、死亡事故を引き起こす或いは人の健康を脅かす場合は、最高終身刑あるいは最低7年の拘禁、及び最大NT$10,000,000の罰金が課せられることになります。
- 事故予防及び緊急対応の関連規定に違反する場合は、NT$30,000 から NT$500,000の罰金が課せられます。また、第三者賠償責任保険を購入しないまたは本規定に基づいて緊急時対応のための機器及び検出と警報設備を設置しない場合は、NT$1,000,000 から NT$5,000,000の罰金が課せられることになります。