2025年3月5日、李強総理は第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で政府業務報告を行った際、今年の政府の課題を明確に示し、二酸化炭素削減、汚染削減、グリーン化と成長を相乗的に推進し、経済社会発展の全面的なGX(グリーン・トランスフォーメーション)を加速させる必要性を強調しました。
グリーン・低炭素開発の継続的推進①
報告書においては生態文明の改革を深化させ、産業再編、汚染防止、生態保護、気候変動への対応を調整し、生態優先、保全と集約化、グリーンと低炭素の発展を推進する必要性を指摘しています。
①大気、水、土壌の保護強化
→持続的に「大気」「水」「土壌」を守るための取り組みをさらに深め、固形廃棄物の総合的な処理計画を策定し、新たな汚染物質の協調的な処理と環境へのリスク管理を強化する必要を強調しています。
②生物多様性の保護計画
→生態環境の区域ごとの管理を徹底し、山、川、森、田、湖、草地、砂漠を一体的に保護・管理するためのシステム的なアプローチが推進されます。また、国家公園を中心とした自然保護区の整備が進められています。
③「三北防護林プロジェクト」の重視化
→特に、「三北(中国大陸の西北、華北、東北エリア)防護林プロジェクト」において緑化活動と荒漠化防止の成果を上げることが重要であると述べています。
④長江の10年間の漁業禁止
→生物多様性を守るための大規模な保護プロジェクトの一環を言及しており、長江における10年間の漁業禁止措置を着実に進めることが述べられています。
⑤美しい中国の実現に向けた取り組み
→環境保護のための補償制度を強化し、エコ製品の価値を反映させる仕組みを作るとともに、中国における美しい環境を目指した地域の発展を進めて、国民が求める良い環境を提供していく方向性も言及しています。
グリーン・低炭素開発の継続的推進②
また本報告書では、グリーン・低炭素経済の発展を促進するための政策や基準体系の整備、エコシステムの構築、先進的な技術示範プロジェクトの実施、資源管理の改善、廃棄物リサイクルの強化など、さまざまな側面からのアプローチを提案しています。これにより、持続可能な社会の実現に向けた具体的な道筋を示すことを言及しています。以下がその内容になっております。
①グリーン・低炭素技術の導入
→最新の環境に優しい技術を使った実験的なプロジェクトを進めることで、新しい産業分野を支援していこうとしています。ここでは環境面における持続可能・エコフレンドリーな建築などの業界を例に挙げています。
②資源の管理と節約
→資源の全体的な使用量を管理する仕組みを強化し、エネルギーや水を多く使う施設については、節エネルギーや節水を徹底にと管理し、エネルギーを大量に使うプロジェクトに関しては効果的にエネルギーを管理し、無駄なく運営できるようにすることが求められています。
③廃棄物の循環利用
→廃棄物のリサイクルを強化し、再生材料の使用を積極的に推進するとともに、グリーン消費を奨励する仕組みを整備し、グリーン・低炭素の生産スタイル及びライフスタイルを形成することをを推進することが求められています。
【中国が目指す持続可能な社会サイクル】
再生プラスチックに関する国際的な政策の概要
現在、欧米の一部の国では、再生プラスチックの利用を強力に推進すると同時に、使い捨て製品の使用を継続的に制限しています。例えば、EUが以前に発表した「特定プラスチック製品の環境負荷低減
に関わる指令」(指令2019/904)では、以下の種類の使い捨てプラスチック製品がEU市場から明確に禁止されています。
・綿棒
・カトラリー製品(ナイフ、フォーク、スプーン、箸、など)
・プレート(お盆)
・ストロー
・攪拌棒(マドラー)
・産業用途以外の風船に取り付けられているプラスチック製のとって棒
・発泡スチロール製の飲食用容の容器(蓋、キャップを含む)
・発泡スチロール製の飲食品用のカップ(蓋、キャップを含む)
【対象となる使い捨てプラスチック製品一覧】
最近発表された包装および包装廃棄物規制(PPWR)において、2030年以降、包装製品に含まれる再生材料の最低割合を段階的に増加
させることを求めています。 2024年までには、使い捨てペットボトル
に65%の再生材料使用率を目標にし、同時に包装の重量と容積を最小限
に抑え、不必要な包装廃棄物をなくす必要があることを指摘しています。
アメリカ各州の再生材料政策とプラスチック規制
アメリカの各州でも再生可能な材料に関する政策が次々と導入されています。
〇ニュージャージー州
2024年から複数の包装材料に対して再生可能な材料の最小含有量を義務付けることになっています。
〇カリフォルニア州
カルフォルニア州の知事は2022年6月に「SB 54 プラスチック汚染防止および包装生産者責任法案」に署名し、2032年まで州内のすべての包装がリサイクル可能または堆肥化可能であることを求めています。さらに、プラスチック包装の生産量を25%削減し、使用後の65%の包装がリサイクル可能であることを目指しています。
まとめ
今回、公開された政府業務報告は、汚染防止とGXを推進することに重要視しており、生態優先、グリーン、低炭素の発展の道を揺るぎなく歩まなければならないと強調しています。
今後、中国ではさらに再生材料に関する政策と規制を実施する可能性があり、REACH24Hでは引き続き皆様のために関連する情報を発信していきます!
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