米国GRAS認証に関するFAQ:FDA審査の重点と企業の対応戦略
2025-04-15

GRAS(Generally Recognized As Safe、一般的に安全と認められる)は、米国食品医薬品局(FDA)が食品物質に対して設けた分類であり、これらの物質は想定される使用条件下で専門家によって安全であると広く認められています。米国GRAS認証には、FDA通知GRAS(FDA notified GRAS)と自己認定GRAS(Self-affirmed GRAS)の2種類があります。関連する法規に基づきGRASと認定された物質は、FDAへの通知や承認を必要とせず合法的に販売することが可能です。

米国の食品規制の枠組みにおいて、FDAへのGRAS決定の通知は任意行為とされています。しかし、FDA GRAS認証はその権威のある性質から、多くの国際メーカーや消費者が食品関連製品を選ぶ際の重要な参考基準となっています。FDA GRAS認証を取得することは、製品が安全性とコンプライアンスの面で権威の承認を得たことを意味し、製品の評判や市場競争力の向上において重要な意義を持ちます。

GRAS申請書類において申請者がFDAに評価停止を求めた理由とは?

GRAS公告リストを整理した結果、過去5年間(2019年1月~2024年1月)でFDAは62件のGRAS申請書類の評価を停止しています。申請者がFDAに評価停止を申請した理由を明確にするため、FDA返信書に記載された申請書類の問題点を分類・統計しました。具体的な評価が記載されていない8件を除いた54件の申請書類について、FDAが各モジュールに対して疑問を提起した頻度は以下の通りです:

安全性に関する記述79.6%
摂取暴露量50.0%
製造方法31.5%
物質鑑定22.2%
想定使用18.5%
品質規格16.7%
裏付けとなるデータと情報5.6%

【「評価停止」となったGRAS申請書類の問題点のまとめ】

統計結果から、FDAが指摘した問題の中で最も多かったのは「安全性に関する記述」モジュールであり、頻度は79.6%に達しておりました。具体的な理由としては、十分なデータや情報の不足、当該物質が既発表物質と同一または類似であることを証明するデータの不足などが挙げられます。次に多かったのは「摂取暴露量」の誤った推定に関するモジュールで、割合は50%に達しっています。具体的には、推定方法に関する疑問や使用データの問題などが含まれます。さらに、通知された物質の特性情報(物質鑑定、製造方法、品質規格を含む)も注目すべき点であり、全体の頻度は約50%に達しっており、これらの問題は、関連情報の不足が主な原因です。

FDA"異議なし"判断された申請書類の修正項目

統計結果から、申請されたGRAS物質の特性に関する補足が行われた申請書類の割合は97.2%(物質鑑定、製造方法、品質規格の合計)に達しっており、摂取暴露量、想定使用、安全性に関する記述に関する修正が行われた申請書類の割合も高いことが分かります。

以上の2種類のFDA GRAS物質申請書類の分析から、FDAがGRAS申請書類の各側面を非常に重視していることが分かります。特に、GRAS申請書類の物質特性情報に欠陥がある場合、企業が補足説明を提供することで比較的スムーズにFDAの審査を通過することが可能です。しかし、安全性に関する記述に問題がある場合、企業が補足データや説明を通じてFDAを説得し、その懸念を払拭するのはより困難だといえるでしょう。

以上の分析をもとに、FDA GRAS物質申請書類を作成する際の留意点を以下にまとめました:

  1. 安全性に関する記述の包括性が極めて重要:十分かつ信頼性のあるデータを提供すること。

  2. 摂取暴露量の推定精度が鍵:正確な方法と最新のデータを用いて推定を行うこと。

  3. 物質特性(物質鑑定、製造方法、品質規格)の詳細な記述を確保:可能な限り詳細かつ正確に物質の特性を記述すること。

米国GRAS認証はどのように申請するのか?

理論上、いかなる機関や個人でも、以下のいずれかの方法でGRAS(一般に安全と認められる物質)認証を申請することが可能です。

1. 自己認定GRAS認証(Self-affirmed GRAS)

資格を有する専門家グループによる評価・署名を経て、FDAへは通報せずにGRAS評価資料を作成します。この方法では、情報を対外的に公開する必要はありません

2. FDA通知型 GRAS認証(FDA notified GRAS):

GRAS評価資料を作成後、FDAに通報し、FDAの専門家による審査を受けて正式な回答(異議なし等)を得る方法です。

なお、申請資料には通常、自己認証GRASの専門家グループの意見・結論が含まれます。

結論からすると、自己認定GRASを通じて当該物質を米国で販売することが可能ですが、しかし、FDA GRASを通じることでより強力な権威の保証を得ることができます。どちらを選択するかは企業の判断に委ねられます。

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  • 米国GRAS認証の実現可能性分析

  • 自己認定GRAS認証(Self-affirmed GRAS)

  • FDA通知型 GRAS認証(FDA notified GRAS)

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