海外進出ガイド、シンガポール化粧品届出要件について
2024-09-30

 シンガポールはASEAN地域で最も発展した国の一つで、人口は約600万人です。国内の強力な消費能力に加えて、東南アジアの主要なショッピングセンターとしての役割も果たしています。化粧品に関して見ると、地元の消費者は美白や日焼け止めなどの個人ケア製品を好み、ブランドと品質を重視しています。

 シンガポールは「ASEAN化粧品指令」(ASEAN Cosmetic Directive, ACD)の署名国であるため、シンガポール市場に入る化粧品業者はACDの規定に従う必要があります。 その中で重要なステップの一つとして、保健科学庁(HSA)の要求事項を遵守し、化粧品は市場に供給される前にHSAに届出しなければなりません。

関係機関

 シンガポールの化粧品主管機関は保健科学庁(Health Sciences Authority, HSA)で、製品届出や規制などの業務を担当しており、「健康製品法」(Health Products Act)や他の関連法令を通じてACDを実施します。さらに、HSA内には化粧品管理部(Cosmetic Control Unit, CCU)が設置され、化粧品製品の監督業務を行っています。

関係法令

 2003年9月3日、ASEAN加盟各国はASEAN化粧品統一規則に関する枠組み(ASEAN Harmonized Cosmetic Regulatory Scheme)に署名しました。このスキームにはASEAN化粧品指令(ACD)が含まれています。

 2008年1月1日より、HSAは「健康製品(化粧品 - ASEAN化粧品指令)規則2007」を通じてACDを実施しました。この規則は「健康製品法」の附属立法です。

 さらに、全体的な化粧品規制要件はASEANの規則を参照していますが、HSAは化粧品に関する以下のガイドも策定しています。

化粧品とは

 化粧品は、皮膚、髪、爪、唇、口(歯茎、歯、舌を含む)などの人体の外部に接触させることを目的とした物質または調剤として定義されます。その目的は次の通りです:

  • 清掃

  • 香り付け

  • 外見の変化

  • 体臭の改善

  • 保護

  • 良好な状態を保つ 

 化粧品には以下のものは含まれません:

  • 注射や目薬

  • 錠剤、カプセル、飲料などの経口摂取される製品

  • にきび治療クリームなどの治療を目的とした製品

製品届出申請者と範囲

 シンガポールの法規に基づき、責任者(Responsible Person, RP)は化粧品の供給/販売前にHSAに製品届出を提出しなければなりません。責任者とは、市場で販売可能な化粧品を供給するシンガポール本土に登録された企業であり、輸入業者、製造業者、卸売業者、または小売業者である可能性があります。

 以下の製品は届出の対象外となります。ただし、企業はラベル、原料、不良事象報告などの他の要求事項も遵守する必要があります:

  • 広告、スポンサーシップ、またはプロモーション活動に関連するサンプル

  • 製品研究または開発に関連するテストまたは試用製品

  • 医療従事者によって製造または医療従事者の要求により製造された製品で、その医療従事者が患者専用に使用するもの

  • 同一製品の異なる包装仕様

責任者の義務

 HSAは化粧品の評価を行わないため、製品届出は製品の安全性と品質が公式に認証されたことを意味しません。それに応じて、責任者は以下の主要な責任を負うべきです:

  • 化粧品製品の販売者がその製品の安全性と品質に責任を持つことを保証すること。化粧品製品には汚染物質や禁止物質を含んではならず、特定の物質の制限量を超えてはならない。

  • 化粧品製品の供給記録は2年間保持すること。

  • 必要に応じて、HSAの要求に従い安全性および技術情報を提出すること。

  • 不良事象と製品リコールを監視し、HSAに報告すること。

  • 製品に安全性の問題が判明した場合、製品をリコールすること。

必要な書類および情報

1. 製品販売を担当する現地企業の情報

  • 会社名と住所(郵便番号を含む)

  • 請求先住所

  • 電話番号とファックス番号

2. 現地企業を代表する担当者の情報

  • 氏名(身分証明書/外国身分証明書番号と一致すること)

  • 国民登録身分証明書/外国身分証明書番号(NRIC/FIN)

  • 会社での役職

  • 連絡先(電子メール/ファックス/メッセージ)

3. 製造者の情報

  • 氏名

  • 住所(郵便番号を含む)

4. 製品情報

  • ブランド名

  • 製品名

  • 製品の種類と主な機能(スキンケア、アンチエイジング、メイクアップなど)

  • 製品の形態(単品、単色パレット、セット内の組み合わせ製品など)

届出手続き

 製品届出は、HSAの医薬品規制情報システム(Pharmaceutical Regulatory Information System、PRISM)を通じてオンラインで提出する必要があります。PRISMにアクセスする前に、申請者はCRIS(Client Registration and Identification Service)ウェブサイトでCRIS企業アカウントを申請しなければなりません。

 シンガポールでは、製品届出に対する審査は行われません。製品届出が提出されると、システムは自動的に確認通知を生成します。確認通知を受け取った後、申請者は化粧品の販売を開始できます。

届出の変更 

1. 再届出

 製品届出の有効期間は1年です。企業がシンガポールで製品を引き続き販売したい場合、毎年再届出を行う必要があります。

 以下の重要な変更があった場合、再届出が必要です。

  • ブランド名

  • 製品名

  • 製品の種類

  • 会社の販売権の変更

2. 届出の更新

 製品届出が提出された後、以下の変更があった場合は届出が必要です:

  • 企業名または住所の変更(唯一の機関識別番号(Unique Entity Number、UEN)は変更せず、販売権を変更しない場合)

  • 申請者の詳細情報の変更(例:電子メールアドレス)

  • 製造者の詳細情報

 シンガポールでは、製品届出は現地企業によって行う必要があるため、企業は事前にシンガポールの現地ディストリビューターの資格を確認し、要件を満たさない場合は他の協力者を探すことをお勧めします。

 REACH24Hのシンガポール子会社は現在、責任者代理、製品届出、市場後の監督対応、規制に関する技術相談、アカウント登録、資料審査、パッケージ審査、CPSR作成、PIF文書整理などの業務を携わっています。弊社は専門の技術チームを備えて、常にプロジェクト経験を積んでいます。もしご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

関連リンク:

ChemLinked Pedia| Singapore Cosmetic Regulation

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